ひのさか#48「ん」
Posted 高宮かやの / 2007.07.29 Sunday / 22:38
見上げた空は微妙な青だった。水崎ちゃん的に表現すれば「風の精霊が生あくびをしたような」といったところだろうか。そんな水崎ちゃんはといえば、お嬢様然としたお顔を真っ赤に染めて読書に夢中。何を読んでいるのかなんて、確認する必要もないな。雲なのか空なのか、いまいち判断に困る青色を眺めながら、うちは部室の窓をそっと閉めた。
ソファでいつものように昼寝している戸波さんを起こさないよう、うちは椅子に腰掛けてテーブルに伏せてあった文庫を手に取る。隣の水崎ちゃんが時々「ふゃ」とか「くぃ」とか口走る他には、戸波さんの寝息しか聞こえない。
もぞもぞと動く戸波さん。あ、だめだめ、見えるって。
その瞬間、うちの左側からばたんと音がした。
ソファでいつものように昼寝している戸波さんを起こさないよう、うちは椅子に腰掛けてテーブルに伏せてあった文庫を手に取る。隣の水崎ちゃんが時々「ふゃ」とか「くぃ」とか口走る他には、戸波さんの寝息しか聞こえない。
もぞもぞと動く戸波さん。あ、だめだめ、見えるって。
その瞬間、うちの左側からばたんと音がした。