ra*ka

勢いの無さに定評のある似非文芸ブログ。

かのさん#04

Posted 高宮かやの / 2007.08.09 Thursday / 22:29

 制服に袖を通して、スカーフを留めて。スカートのプリーツと襟元を確認して、わたしはかばん片手に部屋を出ていく。僅かにエアコンの涼しさが残っていた部屋から廊下に出ただけで、どっと汗がふき出してくる。今日も暑くなるんだろうな。
 わたしの部屋と階段の間、そのドアは閉じられていた。まだ寝てるんだろうな。そっと耳を押し当てると、遠くに聞こえるファンの音。またエアコンつけっぱで寝ちゃってるのか。
「かのー、時間大丈夫ー?」
 階下からお母さんの声。わたしは何事もなかったみたいにかばんを肩にかけると、急ぎ足で階段を降りていった。

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かのさん#03

Posted 高宮かやの / 2007.08.07 Tuesday / 03:38

「何ですかこれは」
「え、だって炭酸って言ったじゃない」
「言ったけども」
 お兄ちゃんの目の前には黒い缶のボトルが置かれていた。
「炭酸コーヒーってのはケンカ売ってんのかな、って」
「うっさいなー、文句あるなら飲まないでいいよ」
 言ってわたしはよく冷えたその缶を取り上げようとする。
 と、その前に缶はわたしの手をすり抜けていった。

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かのさん#02

Posted 高宮かやの / 2007.08.05 Sunday / 03:37

 ドアは僅かに開いていた。漏れてくる音と、煙草のにおい。わたしはそっと近付いて、部屋にいることを確かめる。
 そっと隙間から中を窺ってみると、お兄ちゃんは相変わらずディスプレイに向かって一心不乱にパチパチとコントローラを叩いている。わたしは顔をのぞかせて、その後ろ姿に声をかけた。

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