ra*ka

勢いの無さに定評のある似非文芸ブログ。

ひのさか#28「く」

Posted 高宮かやの / 2007.02.28 Wednesday / 23:07

 真夜中の月には魔力が宿っている、と言ったのは誰だったか。何かの本に書いてあったのだけれど、それは違うんじゃないかな、と思う。魔力が宿っているのではなく、ひとの魔力に反応しているのだと思うのだ。月の光がわたしの能力を極限まで高めることによってわたしの周囲を漂う聖霊が。
「あれ水崎だ。偶然だな
「きゃわあああ、あああ」
「……そのリアクションはどうかと思うぞ」

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ひのさか#27「お」

Posted 高宮かやの / 2007.02.27 Tuesday / 23:05

「明日?」
「うん。明日までに」
「えええ……、きっついな」
「運が悪い日に休んじゃったねえ」
 皆勤賞を諦めたのは風邪と寝坊を併発した日だった。わたしは布団に潜り込んでだめ押しのように体温を上げようと躍起になり、結局午前中を暴れん坊将軍の再放送と共に過ごしたのである。
 翌日、教室に入ってすぐに昨日出された数Aの課題を知らされたわたしは、しばらくの間松平健を恨んだ。まあ、いくらわたしが憤怒の情を抱いたとしても、め組が課題をこなしてくれるはずもない。諦めて課題を眺めつつ、わたしは昨日斬られた悪代官の奇声を思い出していた。

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ひのさか#26「の」

Posted 高宮かやの / 2007.02.26 Monday / 22:32

 本屋に入る瞬間、わたしはいつもほんの少しだけ躊躇する。この街に本屋が一軒しかない、という話であれば「ほんの少しだけ」は「かなりの勢いで」に変わるのかも知れない。
 日曜日とは言え、意外と混んでいる店内をすり抜けるように。こっそりと、だけど挙動不審にならない程度に、わたしはその一角を目指す。ただ一言「その他」とだけ書かれたプレートの下。その中から一冊を手にとって、わたしは再びこっそりと、だけど万引きに間違えられない程度にレジを目指すのだ。

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